『フーガはユーガ』(伊坂幸太郎 著、実業之日本社) 感想

dandeです。

 

先日、書店に足を運んだ時に、たまたま伊坂幸太郎氏の新作が平積みにされているのを目にし、レジへ直行しました。

 

伊坂氏は、好きな作家さんの一人で、初期の作品から読んできました。

今回は、表紙のイラストからも感じられるように、少し毛色が違う作品でした。

 

 

※ 以下、ネタバレ要素が含まれているので、未読の方はブラウザバックをお勧めします。

 

 

 

  目次

 

 

【『フーガはユーガ』】

 

  

フーガはユーガ

フーガはユーガ

 

 

 

【読後の率直な感想】

 

  

読後感をひとことで言うと、「切ない」

帯に書いているまんまなのですが、読み終わってから帯を見ると「嘘や省略がたくさんあるなぁ」と感じました。

 

爽快感はあまりなく、過去作の『火星に住むつもりかい?』(光文社文庫)を読んだ時の感覚に近いです。最近の作品は、勧善懲悪の「悪」が突出したものになっていますね。

ただ、好きな作品の一つである『アヒルと鴨のコインロッカー』(創元推理文庫)に通じる感覚もあり、伊坂氏の作品が好きな方なら楽しめると思います。

 

最後の入れ替わり(?)シーンは、「これ、もしかして『残り全部バケーション』的な終わり方か…⁉」と思いましたが、違いましたね(笑)

 

 

【「あの映画」を彷彿とさせる設定】

 

  

「入れ替わり」というワードで否が応でも連想するのですが、2016年8月に公開され、空前の大ヒットを巻き起こした君の名は。を彷彿とさせる設定です。

物語の本筋に関わりはありませんが、途中震災を思わせるフレーズもあり、構想段階で影響された面はあるのかもしれませんね。

 

 

【『アヒルと鴨のコインロッカー』に通じる感覚】

 

  

終盤に差し掛かってからの怒涛の伏線回収は定番ですが、読者が読み進める上で前提条件としてきたことをガラリと崩す展開はさすがだと感じました。

 

それもあってか、読み終わって思い返してみた時に、まず『アヒルと鴨のコインロッカー』が頭に浮かびました。結末の一部が類似していることや、序盤・中盤まで物語の本筋がつかめない点も似ています。

 

いや、伊坂作品の中で一番好きな作品なので、私の思い込みが混ざってるだけかもしれませんね。

 

 

【まとめ】

 

  

ここまで書いておいて何なのですが、本作はちょっと他人に薦めづらいですね。特に伊坂作品になじみの薄い方は。

正直、どういう反応が返ってくるか予想がつきません。伊坂作品を読んだことがあり、最近の作風が好きだという方は、恐らく楽しめると思いますが。

 

もしかすると、読者を試す挑戦作なのかもしれません。ご本人のインタビュー等は読んでいないので、完全に想像の域を出ませんが。

 

ではでは。