dandeです。
前回に引き続き、伊坂幸太郎氏の新書『シーソーモンスター』の感想を書いていきます。
第2篇の「スピンモンスター」からになります。
目次
【『シーソーモンスター』】
前編(「シーソーモンスター」)は、嫁姑問題という身近なテーマから物語が始まり、どんどんスケールが大きくなっていきます。
上記の記事でも書いた通り、ストレートに面白いエンタメ小説でした。
【感想(後編)】
※ ここから一部ネタバレあり。未読の方は、上記の前編の記事をお読みください。
それでは、後編(スピンモンスター)の感想を。
こちらも前編に負けず劣らずのおもしろさ。
一気読み不可避の内容でした。気付いたら夜中の1時。
物語の大枠は、過去作の『ゴールデンスランバー』を彷彿とさせる緊迫の逃走劇。
緊迫感の根源は、自分が何に追われているのか、何か大きいものに操られているのではないか、という恐怖からきており、近未来を舞台とした割とリアル感のある設定も巧みでした。
主人公を追い込んだ正体らしきものにも触れられており、『ゴールデンスランバー』とはまた違った結末になっています。
「スピンモンスター」というタイトルも絶妙で、自動車の「スピン」とスピンドクターの「スピン」を掛けています。
本作のキーワードである「争い」については、「なくてはならないもの」であり、「ぶつかり合わなければ何も起きない。何も進化しない。」と表現されており、なるほどと思わざるをえませんでした。そうきたか、と。
最終的な結論についてのネタバレは伏せますが、私としては納得のいくものでした。
本作は、「シーソーモンスター」「スピンモンスター」ともに、巧妙な伏線・見事な回収というのは少ないです。
が、エンタメ小説としての完成度は高く、安心して他人に薦められます。
やっぱり伊坂小説はおもしろいな、と思い直した今日でした。
ではでは。