dandeです。
昨日に続き、東京。
創薬ベンチャー・ペプチドリーム<4587>の株主総会に出席してきたので、主な内容をまとめておきます。
昨年のレポは、こちら。
今年も、希望の持てる話が聞けました。
目次
【株主総会】
定型の事業報告・決算報告は、基本的に読み上げ中心で、特筆すべき点もないため割愛。
出席人数は、昨年よりも1~2割は多かった印象(あくまで目分量)。
【質疑応答】
以下、主な質疑事項について記載します。なお、内容につきましては、私の理解不足・聞き洩らしの部分がありますので、ご承知おき下さい。
Q. 最近、大手製薬会社以外との業務提携が多いのはなぜか。
A. JSRとの提携については、今非常に伸びている事業であり、それを取り込みたいというもの。富士通との提携も情報戦略として重要。
これらは確かに短期的な業績向上につながるものではないが、現在、業界を超えたアライアンス・提携を積極的に進めており、組む相手を戦略的に選んでいる状況。
異なる領域との提携であっても、当社が重点を置いているのはあくまで「医薬品の創薬」。例えば、ポーラとの提携では、当社が化粧品を作るということではなく、当社は医薬品の領域を担う。(医薬品と化粧品の開発は、ある一定の段階までは同様のプロセスを辿るので、どちらに分岐するかによって関わり方も変わる。)
したがって、リソースが分散するのではないかとの懸念も当たらないと考えている。
Q. フェーズがあまり進んでいないように見えるが、どうか。
A. 当社はそうは捉えておらず、少なくともフェーズに入っているものは順調に進んでいる。ネガティブな報告も特に受けていない。近いうちに臨床の発表等も出てくると思う。
Q. ペプチド創薬は、今後の主流になっていくのか。(業界のトレンドという観点)
A. 断定的には言えないが、向こう20~50年でみれば、ペプチドがあればすべて解決するとは思っていない。(低分子薬ももちろん使われるだろうし、最近では再生医療も走り始めている。)
ペプチドには、これまでの低分子薬では見つけてこれなかったものや、抗体医薬品では足りないものでも、見つけられる可能性がある。
細胞医療(再生医療)にも問題点がいろいろ報じられているが、ペプチドがそれを助けられるかもしれないという話も出ている。JSRとの提携も、抗体医薬品をペプチドが助けるという狙い。
Q. 従業員数という中期目標について。
A. 「研究員の数」がボトルネックになっており、一人当たりのプロジェクト数を増やすことにより対応している。(研究員を募集しても人が来ない。)
ただ、最近、研究施設の閉鎖が各社で進んでおり、当社にとっては追い風である。
【経営説明会】
15分ほど休憩を挟み、同会場にて開催。パワーポイントのスライドに沿って説明されました。
① 業績推移
業績推移は順調。過去最高益を計上し、高い営業利益率を維持している。
・ノバルティス社との提供が中でも重要。放射線接種は今後有望(がん治療など)。
作用基準がシンプルであり、副作用等の不確定要素が少ないため、製品がマーケットに出るまでの期間も短いのが特徴。
放射線接種においても薬物運搬は重要だが、ここは当社の得意領域である。
・パートナー先も順調に拡大しており(+4社)、今後も着実にパートナーネットワークを広げていく。
② プログラムの進捗状況
・動物用医薬品(特殊ペプチド動物薬)の開発へのストリームもありうる。(人体用・動物用と分けるよりは、一連の流れで両方の生成・発見をしていくため、動物用の開発も十分ありうる。)
再生医療で今問題になっているのは、細胞をいかにがん化させずにきれいな細胞を生成するかである。成長因子はタンパクであり、それらをすべてペプチドに置き換えられる(均一な状態で提供できる)可能性がある。
現時点で発表できることはないが、ここは大きなビジネスチャンスになると考えている。
農薬(低分子農薬)も同様であり、こちらに参入するかどうかは、今後の戦略次第。
・ペプチスターの生産が近日開始されるが、現在業界外からも含めて非常に多くの問い合わせが来ている。
・JCRとのBBB(血液脳関門 Blood-Brain Barrier)通過ペプチド創成について、今年6月に発表した後、非常に多くの問い合わせが来ている。
最近、「アルツハイマー薬の治験中止」のニュースを見ることも多いが、BBB通過ペプチドの技術がそれらに貢献できるかもしれない。
・Kleo社との共同開発は、がん免疫療法に非常に近い。ただ、当社で扱う方法は、主流のがん免疫療法とは異なる。
メカニズムとしては、ペプチドががん細胞をつかまえて、Kleo社の技術が免疫細胞をつかまえることで、免疫細胞ががん細胞を攻撃できるというもの。
この方法であれば、現行の「自分の細胞を取り出して戻したりするプロセス」が不要になり、投薬のみで治療できるようになる。
現在、動物実験の段階で非常に上手くいっており、近いうちに人体にも応用できると考えている。
③ 質疑応答
Q. 中期目標についてもう少し先までの計画は出せないか。
A. まずは上梓品を出すことが重要で、そこからペプチド治療の実用が始まる。その後の数字はある意味消化試合ともいえる。
Q. アナリスト、機関投資家向けの決算説明会で出た質疑応答の開示はできないか。
A. 開示していきたいと考えている。
Q. プログラム数の推移(84⇒101に増加)には内訳の増減はあるか。(ネットの数字か)
A. ネットの数字であり、中止になるプログラムも毎年一桁程度はある。
レポは、以上です。
今回の報告内容の中で特に重要だと感じたのは、免疫療法への進出可能性について触れた部分。
説明会で特に大きく取り上げていたわけではありませんが、がん免疫療法が難しいことは各所で言われており、個人的にはかなり有望なのではないかと思いました。
引き続き経過を見守るのみですね。
ではでは。