感想『イン・ザ・メガチャーチ』(朝井リョウ 著、日本経済新聞出版)

 

【『イン・ザ・メガチャーチ』】

 

【あらすじ】

「神がいないこの国で人を操るには、"物語"を使うのが一番いいんですよ」

——ファンダム経済を築く者、のめりこむ者、かつてのめりこんでいた者。世代や立場の異なる3つの視点が炙り出すのは、虚実入り混じった情報あふれる時代に人々を行動へと突き動かす"物語"の功罪。事実と解釈、連帯と暴走、成長と信仰、幸福と中毒、人生と孤独………沈みゆく列島で、"界隈"は沸騰する。 (本書・帯より引用)

 

今年の本屋大賞受賞作。

 

これまで著者の作品は読んだことがありませんでしたが、『桐島、部活やめるってよ』など有名作品のタイトルだけは知っていました。

 

 

今まで触れてこなかったものの、本屋大賞を取ったということで、さすがに読んでおくかと手に取りました。

 

 

【ざっくり感想】

 

読後感としては、令和の雰囲気をよく捉えた小説だという感想。

 

小説として面白いかと言われると、エンタメ的な面白さはちょっと薄いと感じました。理由は恐らく、途中から何か評論でも読んでいるような感覚になったから。

小説というより、推し活にのめり込んだ人たちのドキュメンタリーを読んでいる感覚ですね。

 

内容は、↑↑のあらすじの通りで、推し活がメインテーマです。

 

 

そして「視野」がキーワードのひとつになっています。何かに夢中になることと視野狭窄は表裏一体。これは推し活に限らず、何にでも当てはまるものだと思います。本作でも推し活でないところで視野狭窄に陥る描写があります。

 

 

あるキャラクターがコミュニティ・友人関係を渇望するあまり、唐突な行動に出る展開には、少し考えさせられました。

 

登場するキャラクターは、みんな何かしら生活に空虚感を抱いており、心の拠り所(自分が信じられるもの、導いてくれるもの)を求めています。それが推し活、"物語"への信仰につながる。

 

 

『イン・ザ・メガチャーチ』とはよく言ったもので、教会(チャーチ)が大きく(メガ)なって、周りの声が届かない新興宗教団体のようになる「推し活(ファンダム)」を的確に表現していますね。

これが令和だと言われればそうなのでしょうが、なんともやり切れない感じです。

 

ではでは。