dandeです。
今回は、久しぶりのコラム記事になります。
【面白ギミックは天才しか無理?】
遊戯王プレイヤーなら、一度はやってみたい「面白ギミックの発明」。
面白いアイデアは Twitter で瞬く間に拡散され、中にはトレンド入りしてショップの買取価格にまで影響を与えることもあります。一個人が大きな力を発揮する時代になりました。
【例①:ゴライアス】
先日話題になった《無限起動ゴライアス》なんかはいい例ですね。
リンク・効果モンスター
リンク1/地属性/機械族/攻1000
【リンクマーカー:右下】
リンクモンスター以外の「無限起動」モンスター1体
このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードがフィールドから墓地へ送られた場合、自分フィールドのXモンスター1体を対象として発動できる。
このカードをそのモンスターの下に重ねてX素材とする。
(2):このカードを素材として持っている、元々の種族が機械族のXモンスターは以下の効果を得る。
●このカードは効果では破壊されない。
同テーマの《無限起動要塞メガトンゲイル》と比べるとかなり地味で、【無限起動】デッキ以外でほぼ使われることがなかったカードです。
そんな《無限起動ゴライアス》が突如注目を浴びたのは、《クシャトリラ・アライズハート》を使った耐性付与コンボでした。
具体的には、《金満で謙虚な壺》でEXデッキの《無限起動ゴライアス》を除外した後、それを《クシャトリラ・アライズハート》の効果でX素材に取り込む、というものです。《無限起動ゴライアス》をX素材に持っている【機械族】Xモンスターは効果破壊耐性が付与されるので、破壊耐性をもった《クシャトリラ・アライズハート》が出るわけです。
このコンボを見た時に、正直どう感じましたか。
「こんなん思いつかんわ」って思いませんでしたか。
実際これが環境で使われだした時、「金券でゴライアス飛ばしてアライズハートで吸うとか天才かよ」的なツイートがかなりあったんですよね。
そこで今回は、凡人の私でもここまでは行けたよという視点で書いてみます。
【凡人の試み】
こちらが、アライズハート発売の1ヶ月前に書いた記事です。
自分としては遊びのつもりで書いたもので、環境レベルで採用されるようなものとは思っていませんでした。投稿した当時の反応も、特に目立ったものはなく普通でした。
タイトルがぼんやりしているのも原因かもしれませんが、やはり一番は《金満で謙虚な壺》のことを書いていなかったからでしょう。今から見れば結構な回り道をしていますが、当時は《フォーマッド・スキッパー》が最適ルートだと考えていました。
最適ルートを知ったのは、後に有識者からコメントをいくつか頂いたからです。大会レベルで遊戯王をしている人のカード知識はやっぱりすごい。
【発想と最適化を分けて考える】
じゃあ、私のような凡人はどうしたらいいのか。
「発想(アイデア)と最適化を別々で考える」ことでしょう。
最適化(上記の例でいえば「《金満で謙虚な壺》で」の部分)はそれなりのカード知識と経験が必要になるので、思いつかない時は本当に思いつきません。
それに対して、発想(上記の例でいえば「《無限起動ゴライアス》を《クシャトリラ・アライズハート》のX素材にして破壊耐性をつける」の部分)は、次に説明する方法でトライすれば、私のような凡人でも高確率で到達できます。
この最適化とアイデアを一緒くたにすると「自分には無理だ」と諦めムードになってしまうので気を付けましょう。
【発想】
発想の元は、カードテキストと遊戯王ニューロンです。
ここで改めて《クシャトリラ・アライズハート》のカードテキストを眺めてみましょう。
エクシーズ・効果モンスター
ランク7/闇属性/機械族/攻3000/守3000
レベル7モンスター×3
「クシャトリラ・アライズハート」は、「クシャトリラ・シャングリラ」が効果を発動したターンに1度、自分の「クシャトリラ」モンスターの上に重ねてX召喚する事もできる。
(1):墓地へ送られるカードは墓地へは行かず除外される。
(2):カードが除外される度に発動する(同一チェーン上では1度まで)。
除外されているカード1枚を選んでこのカードのX素材とする。
(3):お互いのターンに1度、このカードのX素材を3つ取り除き、フィールドのカード1枚を対象として発動できる。
そのカードを裏側表示で除外する。
最初の発想としては、(2)効果が他のカードにはない最大の特徴だというものです。何でもかんでもX素材に取り込むカードを見たらそれを活かしたくなるのがカジュアルデッカーの性というもの。
(1)効果⇒(2)効果の流れで簡単にカードをX素材にできると気づいて、「X素材になったら効果を付与するカード」を調べてみようと考えました。
「X素材になったら効果を付与するカード」で私が最初に浮かんだのは《ZS-昇華賢者》です。
効果モンスター
星4/光属性/戦士族/攻 900/守 300
このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分フィールドにカードが存在しない場合、このカードは手札から特殊召喚できる。
(2):フィールドのこのカードを素材としてX召喚した「希望皇ホープ」モンスターは以下の効果を得る。
●このX召喚に成功した場合に発動できる。
デッキから「RUM」通常魔法カード1枚を手札に加える。
↑↑のテキストにある「このカードを素材として」を遊戯王ニューロンで検索してみると、
こんな感じに。
1枚ずつテキストを見ていきます。全部で47枚ありますが、そんなに時間はかかりません。ここで手間をケチったらダメですよ。
そして画面の下の方にある《無限起動ゴライアス》、そしてその下にある《レイダーズ・ウィング》に至ります。
効果モンスター
星4/闇属性/鳥獣族/攻 0/守2000
このカード名はルール上「幻影騎士団」カード、「RR」カードとしても扱う。
このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが手札・墓地に存在する場合、自分フィールドの闇属性XモンスターのX素材を1つ取り除いて発動できる。
このカードを特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合に除外される。
(2):このカードを素材として持っている、元々の属性が闇属性のXモンスターは以下の効果を得る。
●このカードは相手の効果の対象にならない。
《ZS-昇華賢者》のテキストと見比べてもらえばわかるんですが、《無限起動ゴライアス》や《レイダーズ・ウィング》は「このカードを素材として持っている」なので《クシャトリラ・アライズハート》の効果でX素材にしても耐性が付与されるとここで気づきます。
さらに「《クシャトリラ・アライズハート》は【機械族】だから《無限起動ゴライアス》の付与対象にできる」とか、「《クシャトリラ・アライズハート》は【闇属性】だから《レイダーズ・ウィング》の付与対象にできる」という風に発想を伸ばしていきます。
つまり何が言いたいかというと、この発想(アイデア)は大半が後付けだということです。最初から《クシャトリラ・アライズハート》の種族・属性を意識していた訳ではありませんし、《無限起動ゴライアス》が出発点になっている訳でもありません。
【最適化】
ここから《金満で謙虚な壺》や後述の《RR―アーセナル・ファルコン》が浮かぶかどうかは、その時のひらめきや過去の経験次第でしょう。これは最適化にあたります。
最適化をすることで、コンボの成功率が上がります。いくらシナジーがあっても実戦で決められなかったらコンボは使えませんよね。
こういう最適化部分までパッと思いつく人は天才だと思いますが、凡人でもアイデア部分までは頑張れるという点が本記事の結論です。
【例②:レイダーズ】
最後に《レイダーズ・ウィング》の最適化にも触れておきます。
具体的には「《RR-アーセナル・ファルコン》を活用し、《レイダーズ・ウィング》を《クシャトリラ・アライズハート》のX素材にして対象耐性を付与する」というものです。これも有識者に教えてもらいました。
詳細は、長くなるので別記事に譲ります。
最適化は「《RR-アーセナル・ファルコン》で」の部分です。
「《輝光竜フォトン・ブラスト・ドラゴン》をエクシーズ召喚して対象付与」も最適化に当たりますが、これは《レイダーズ・ウィング》で直接《クシャトリラ・アライズハート》に耐性付与する訳ではないので、別ギミックと捉えた方がいいかもしれません。
ちなみに私は執筆時に《RR-アーセナル・ファルコン》が目に入っていながらテキストを読みませんでした。【RR】の知識がなかったのと「どうせレベル7鳥獣族×2体でしかエクシーズ召喚できないんだろう」という先入観があったためです。さっき手間をケチるなって言ったの誰だよ。
《RR-アーセナル・ファルコン》の採用まで至っていれば、さらに自力でギミックを発展させられていたかもしれないのでそこは残念。
ではでは。