【感想】苦しかったときの話をしようか(森岡毅著、ダイヤモンド社)

 

【『苦しかったときの話をしようか』】

 

 

著者は、業績が低迷していたUSJ(ユニバーサルスタジオジャパン)をⅤ字回復させたマーケターとして有名な方。

 

内容は、著者の娘さん(大学生)に宛てたキャリアの判断に役立つ「虎の巻」をもとにしたもので、話しかけるような文体がメインです。

就職活動を控える大学生はもちろん、キャリア形成に悩むビジネスマンにも刺さる内容になっています。

 

【ざっくり感想】

 

自分の強みは何なのか、どの職業を選ぶべきかを考えさせられる名著だと思います。重要だと感じる内容が多く、刺激的な本でした。

 

私自身、転職を経験していますが、自分に向いていない仕事を選んでしまい、本書でいう「不正解をつかむ」を地で行く失敗をしました。自分の「軸」が決まっていなかったということでしょう。

 

【やりたいことがわからないのはなぜか?】

 

 つまり、君の悩みの本質はオプションがわからないことではない。問題の本質は、君が世界のことをまだよく知らないことではなく、君が自分自身のことをよく知らないことだと気づけば、解決への扉が開くだろう。問題の本質は外ではなく、君の内側にあるのだ。やりたいことが見つからないのは、自分の中に「軸」がないからだ。そして軸がないのは、君が就職のサイコロを振るこのタイミングまでに、自分自身を知るための努力を十分に行ってこなかったことに起因している。 (本書P.24より引用)

 

「経験がないのに考えても仕方ない」は間違いだ。むしろ、ちゃんと考えないから経験に踏み出せないのだ。 (本書P.25より引用)

 

耳が痛い話ですが、社会の仕組みがわからないからといって「考えてもわからないし、とりあえずやってみよう」という気持ちで就職・転職すると失敗しますよね。

未経験業界へ転職する場合でも、未経験だからわからないしとりあえず入社して経験を積もうと考えると「向いていない仕事」を選んでしまうリスクが高まります。

 

知らない・わからないのを前提として、その中でできる限り自分の強み・興味に合った仕事を選ぶことが重要なのだと思いますね。

 

【不正解以外はすべて正解】

 

 では不正解とは何か?不正解とは、自分にとって決定的に向いていない仕事に就いてしまうことである。自分にとって決定的に向いていない仕事とは何か?それは「自分の特徴が裏目に出る」かつ「自分にとって情熱がどうしても湧いてこない仕事」のことであり、この2つはたいてい連鎖して起こる。 (本書P.43より引用)

 

私が転職先に選んだのがまさにこれで、前職では弱点にならなかった性格が転職先では裏目に出るということが続きました。こうなると、だんだん仕事へのやる気・情熱も減っていきますし、人間関係にも嫌気がさしてきます。良くない連鎖です。

 

こうならないためにも、事前に自己分析をしておかないといけませんね。

 

※ とはいえ、向いていない仕事のおかげで、自分が関わることのない世界を知れましたし、次に活かせる経験もできたので後悔をしている訳ではありません。

 

【他にも重要な示唆が多い】

 

本書には、著者がP&G社に勤めていたときの苦しんだ経験も書かれており、弱点と向き合う・行動変化のコツなど、重要な示唆が多いです。

 

いまの仕事にモヤモヤした気持ちを持っている方や、もっと切実な悩みを抱えている方にとって、自分と向き合うきっかけを作ってくれる本だと思います。

 

ぜひじっくりと読んでみてください。

 

ではでは。