感想『レプリカたちの夜』(一條次郎 著、新潮文庫)

dandeです。

 

今回は、読書記事。

 

最近は小説の比率を多くしています。

某ウイルスのせいで在宅時間が増えたので、感情の行き先として、小説は適していると思うからです。

 

そして、いろんなジャンルの小説に触れていきたい。

 

 

  目次

 

 

【『レプリカたちの夜』】

 

 

レプリカたちの夜(新潮文庫)

レプリカたちの夜(新潮文庫)

 

 

新潮ミステリー大賞受賞作。

 

帯の紹介文で、作家の伊坂幸太郎が絶賛していたのでとりあえず購入した次第です。

 

dandee.hatenablog.com

 

 

【感想】

 

 

※ 直接的なネタバレは避けますが、本書のテーマなどにも触れるので、未読の方はご注意ください。

 

 

 

 

裏表紙のあらすじを見ればわかりますが、さっぱり内容が理解できない不思議な小説でした。

それでも2日間で一気読みできましたし、ちゃんと読ませるだけの筆力は感じます。

 

 動物レプリカ工場に勤める往本がシロクマを目撃したのは、夜中の十二時すぎだった。絶滅したはずの本物か、産業スパイか。「シロクマを殺せ」と工場長に命じられた往本は、混沌と不条理の世界に迷い込む。

 卓越したユーモアと圧力的筆力で描き出すデヴィッド・リンチ的世界観。選考会を騒然とさせた新潮ミステリー大賞受賞作。「わかりませんよ。何があってもおかしくはない世の中ですから。」 (本書・裏表紙の説明文より引用)

 

現実と幻覚が交錯し、シロクマが絶滅した世界と絶滅していない世界を行き来します。

 

主人公は、動物レプリカの製造工場で働く従業員。

不思議な登場人物・現象にひたすら振り回されます。

 

「レプリカたちの夜」というタイトルも、最後にしっかり(?)回収され、モヤモヤ感は特に残りませんでした。

 

 

本書のテーマは「自我」でしょう。

 

人間を人間たらしめるものは何か、人間と動物の違いとは何か、自分という人間を形成するものとは何か、なんてことが繰り返し語られます。

 

終盤の怒涛の語り口は、人によっては頭が痛くなるかもしれません。

私はフォトリーディング的な読み方で深入りせずに済ませましたが、それでも少し疲れました。

 

このような哲学チックな話を織り交ぜながらも、全体として「小説」の体裁を保っているのは、ただただすごいと思います。

 

感想は以上です。

 

ではでは。